良かった本2024
①「面白くない話事典」伊藤竣泰著
著者が電車内、ファミレスなどで聞こえてきた面白くない話、というか面白くない会話を集めた本。
マウント、小芝居、大喜利、例え、アピール、テレビのノリなど、これら自体は良いのですが(私もやってる)
周りに聞こえるように(だからこそ著者も話を集めることが出来た)自分たち面白いでしょ、濃いメンツでしょ感を出しながらつまらない発言をかぶせてくるのがつまらない話たる所以です(多くは20代男性2〜5人組)。
ただし読み終わった後に、つまらない話をもっと聞いていたかったという気持ちになるから不思議です。
②「地震と虐殺1923-2024 」安田浩一著
1923年の関東大震災後に起きた朝鮮人虐殺(日本人虐殺もあり)のルポルタージュ。
埼玉県内でも200人もの朝鮮人が虐殺されたと言われており、知らない関係ないでは済まされないような気がします。
虐殺の否定や追悼碑の撤去ダメ。
③「京の大工棟梁と七人の職人衆」笠井一子著
父が生前私に勧めてきて、当時は読む気になれずそのままにしていたのですが
今年の夏頃に「木に学べ」を読んでから職人さんカッコ良いよな〜と思い
そういえば...と思い出して読んでみたら面白くて、読んでなくてすんませんとなった思い出の一冊。
登場する全員に共通する悪趣味や見せびらかしを良しとせず、本質的な美しさや全体との調和を大切にする姿勢には大いに共感させられました。
④「いちばんやさしいアロマンティックやアセクシャルのこと」
三宅大二郎 今徳はる香 神林麻衣 中村健著
アロマンティック=他の人に恋愛感情を抱かないこと。
アセクシャル=他の人に性愛感情を抱かないこと。
本書には他にも同じようなカタカナの用語やその組み合わせが多く出てきて“いちばんやさしい“んじゃないのかよ!と思ってしまうわけですが
読み進めていくうちに、そもそも人それぞれアイデンティティにはグラデーションがあり、しかも日々変化しうるものだということに気付かされます(当たり前と言えば当たり前ですが)。
その人をその人として受け止めるということでしょうか。
安易に人に恋愛事情を尋ねたり(仲が良い人ならOKだと思います)
その返答に対して否定やアドバイスをするのは慎みたいものです。